風工学研究室
風工学研究室(旧建設四講座・土木設計学研究室)
徳島大学美土利会会員の皆様におかれましては、ますます御健勝のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。ま た、2011年3月11日に発生した未曾有の東日本大震災により、お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災地の皆様に謹んで お見舞い申し上げます。一日も早い復旧復興を心よりお祈り申し上げます。
さて、新しいウェブサービスが動き始めた第1号の美土利会々報ということもあり、風工学研究室(旧建設四講座・土木設計学研究室)の近況について少し詳しくお知らせしたいと存じますので、お付き合いいただけましたらと思います。
平成23年度11月の時点での風工学研究室の陣容は、長尾文明教授(昭和54年卒)、野田 稔准教授(平成3年卒)、宗田和之技術職員(昭和49年卒)の3名となっており、博士前期課程2年が3名、博士前期課程1年が5名(内一名はインドネシアからの留学生、内一名は女性)、学部4年生が6名、学部3年生が9名の合計26名となっております。
長尾教授は、建設工学科の学科長をはじめ、徳島大学環境防災研究センターの副センター長も務められる一方で、日本風工学会代表委員や美土利会幹事長も務められており、学科と大学を結ぶパイプ役の傍らで教育・研究と忙しい毎日を送っています。
野田准教授は、日本風工学会代表委員、日本風工学会編集・広報委員会委員、日本風工学会風災害調査連絡委員会・風災害研究会幹事など日本風工学会 の役割を多数引き受けている一方で美土利会総務委員などを担当し、日ごろの構造系の教育活動と研究活動に右往左往しております。
宗田技術職員は、徳島大学総合技術センター分野長の要職を務められており、工学部内の様々な学科から挙げられてくるモノづくりのリクエストの取りまとめ役として、多忙な毎日を送られております。
平成16年度に行われました建設工学科棟の改修後、風工学研究室は建設工学科棟5階の西ブロックフロアを構造工学研究室と共用しており、西側3ス パン分で活動しています。また、実験スペースについては、多目的風洞(大型風洞)につきましては、東側の回流部分があったところに建屋が増築され、測定胴 が10mに延長されました。また、改修工事を機に、小型風洞実験室も場所を変え、建設工学科棟1階の北側の部分となりました。残念ながら1m×1mの測定 断面を備えた初代小型風洞は改修時の移設に耐えることができず解体してしまいましたが、現在は、1.5m×0.7mの測定断面を備えた2代目小型風洞と、 1.5m×1mの測定断面を備えた3代目小型風洞が、同時運転可能な状態で設置されています。大型風洞実験室内にも1m×0.3mの断面を備えた可視化風 洞と、竜巻状の旋回上昇流を再現する竜巻風洞が、所狭しと活躍しています。一方で、学生スペースにおいては、UbuntuというLinuxシステムで統一 された作業PCが学生1名に1台以上割り当てられ、最近急速に発展している数値流体解析ツールを中心に日々研究活動が進められています。
それでは次に、現在進行中の研究テーマについて、簡単にご紹介しましょう。現在の風工学研究室のテーマは基本的に空力振動、風災害、地形と風、風力発電を柱として研究が進められております。
【空力振動に関するテーマ】
現在進行中のテーマは、並列ケーブルで発生するウェイクギャロッピングの発生メカニズムに関する研究と、変動揚力が支配的な役割を演じる扁平断面のバフェッティング応答に関する研究が進行中です。
【風災害に関するテーマ】
こちらは、最近増えてきた竜巻等の突風によって発生する強風災害の低減を目指して取り組んでいるテーマであり、竜巻の流れを実験的・数値的に再現 することによる流れの構造や挙動に関する研究、曳航水槽実験や数値流体解析を使った突風により構造物に作用する過渡的空気力に関する研究、竜巻内や建物周 りにおける飛散物の挙動やリスク評価に関する研究が現在進行中です。
【地形と風に関するテーマ】
このテーマも伝統的に風工学研究室で取り組まれてきたテーマですが、現在では数値流体解析を使った複雑地形周りの流況の検討を自由にできるように計算スキルを磨きつつ進めている研究です。
【風力発電に関するテーマ】
こちらは、小型風力発電をターゲットとして、強風中でも安全な状態を保ちながら発電を継続できる過回転抑制機構(現在特許技術として申請中)を備 えた直線翼垂直軸風車の開発に取り組んでおり、佐那河内村大川原高原に設置された試験サイトを中心に試作風車の実地試験を進める一方で、中高層建築物周辺 で効果的かつ安全に小型風力発電を導入するために用いる数値流体解析を使った設置場所選定ツールの開発、小型風車の性能評価法の提案などを行っています。
以上、簡単ではありますが、風工学研究室の近況のご報告とさせていただきます。徳島へお寄りの際には、是非研究室にもお立ち寄りいただき、近況などを教えていただければと存じます。最後に、皆様方のますますのご健勝とご活躍を祈念いたします。
構造工学研究室
構造工学研究室(旧土木1講座)
美土利会会員の皆様方には,益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。また,3月11日の東北地方・太平洋沖地震により被災された皆様に心よりお見舞い申し上げますとともに,犠牲となられた方々に深甚なる哀悼の意を表します。
前回(平成20年度),本コーナーで研究室の近況報告をさせていただいてから早くも3年の月日が経ちました。前々回(平成17年度)に報告しましたように,平成16年度より,耐震改修後の建設棟5F西側研究スペースを風工学研究室と二分して仲良く使用しています。
さて,最近3年間の構造工学研究室の変遷・動向等について簡単に紹介させていただきます。
【平成21年度(平尾先生が退職されて2年経過)】
前年度と同様,スタッフは成行教授,三神准教授,佐藤助教,宗田技術職員(総合技術センター分野長)の4名でした。この時の学生数は31名〔博士 後期課程5名,博士前期課程14名,学部4年生12名〕で,歴代最大規模で研究室も手狭でしたが皆さん和気藹々と助け合って頑張っていました。平成22年 3月に博士後期課程3年次の源貴志氏がめでたく博士(工学)の学位を取得されました。
この年度,成行教授は工学部教務委員長として多忙でした。また佐藤助教は就任2年目となり新しく担当する講義も増え,21年度入学生のクラス担任としても奮闘しておりました。
【平成22年度】
4月に三神准教授が新設の地震工学研究室(大角教授:新任)へ指導学生とともに移籍されました。また源貴志氏が工学部先端工学教育研究プロジェク トの助教に採用(1年任期)され,スタッフは,成行教授,佐藤助教,源助教,宗田技術職員の4名となりました。また学生数は17名〔博士後期課程2名,博 士前期課程8名,学部4年生7名〕で,昨年度に比べすこしコンパクトになりました。
この年度,文科省の就業力GPに「自らの就業力向上を促す巣立ちプログラム」(工学部・総合科学部合同,H.22~26年度)が採択されました。 成行教授は本GPに関する工学部の担当者として,その申請ならびに採択後の対応に大童でした。また佐藤助教は,徳島大学AWAサポートセンターのワークラ イフバランス支援部門の部門主任を務めることとなり新しい取り組みに参加しております。
【平成23年度】
5月に源貴志助教が,縁あって沖縄県農業研究センターに異動し,スタッフは成行教授,佐藤助教,宗田技術職員の3名となりました。学生数は15名 〔博士後期課程2名,博士前期課程5名,学部4年生8名〕で,ここ数年で最も少なくなっております。写真は,5月25日に建設棟玄関前で撮影した構造工学 研究室の集合写真です。(研究室のHP もご覧いただければ幸いです。)
現在,成行教授は今年度から本格的に始まった前述の「巣立ちプログラム」の実施に奮闘中です。また佐藤助教は,徳島県内の建築や林業関連の行政・実務者の方と接する機会が増え,勉強中の日々を送っております。
次に各教員の現在の研究テーマと社会活動等について簡単に紹介させていただきます。
成行教授
〔研究テーマ〕:橋梁構造物の非線形地震応答解析,橋脚の新しい耐震設計法の開発,ケーブルを用いた弾塑性ダンパーの開発,モード解析に基づく構造 物の損傷評価法,橋梁の耐震補強順位の決定法,橋梁の長寿命化修繕計画策定手法,地震時道路閉塞の予測法,空撮画像からの地震被災箇所自動抽出,津波避難 シミュレーション,剛体の地震時挙動シミュレーション,新型パイプハウスの開発,じゃかごの力学特性の解明
〔社会活動〕:土木学会構造工学論文集編集委員,土木学会全国大会実行委員会学会誌編集部会副部会長,土木学会四国支部商議員,土木学会四国支部賞 選考委員,四国地域橋梁管理委員会委員,県市町村等の橋梁長寿命化修繕計画策定委員会委員,徳島県建築士会専攻建築士評議委員会議長等
佐藤助教:
〔研究テーマ〕:常時微動測定を用いた木造住宅の構造性能の検証,地震被害調査や実験・解析に基づく伝統的木造住宅の構造性能評価,既存木造住宅の耐震補強を目的とした類型化,徳島スギを活用した木造住宅の簡易な耐震補強方法の開発
〔社会活動〕:日本建築学会四国支部常議員,日本建築学会四国支部構造委員会委員,耐震診断法の高度化に関する検討委員会木造部会委員,徳島県・市町村等の住宅や林業に関する検討委員会委員等
以上簡単ですが,構造工学研究室の近況報告(過去3年間)をさせて頂きました。来徳の折には,お気軽に研究室にお立ち寄り頂ければ幸いです。最後になりましたが,皆様方の益々のご健康とご活躍を祈念いたします。