新任教官紹介

武藤裕則

河川・水文研究室

 

 

 

 昨年11月1日より河川・水文研究室を担当させていただくことになりました,武藤裕則(むとうやすのり)と申します。

 出身は大阪市ですが,小学3年の時に近郊の大阪府柏原市へ転居しました。江戸時代に大和川が付け替えられた,その起点から歩いて5分の地で,当時 は河道の砂州上で友達とチャンバラなどをして良く過ごしたものです。その後京都大学へ進学し(工学部交通土木工学科),卒業研究で防災研究所附属宇治川水 理実験所に配属され,初めて研究対象として河川を眺めることとなりました。修士修了後,指導教授の縁で英国ブラッドフォード大学へ任期付助手として赴任 し,複断面蛇行流路における乱流計測を主テーマとして3年間滞在の後,京都大学防災研究所の助手に採用されました。出身研究室に配置され,しばらく河床変 動や局所洗掘に関する実験や,自らが運転するボート(一級小型船舶免許保有)に流速計を登載しての洪水流観測などに従事しておりましたが,後者の実績の延 長で2007年2月に同研究所附属白浜海象観測所(和歌山県白浜町)に配置換となり,海洋観測や沿岸地形変動観測にも取り組んでおりました。この間,学位 論文はブラッドフォード大学へ提出しております。

 これまで私が取り組んできた研究を,対象(縦糸)と手法(横糸)という面で捉えると,縦糸には「水害・防災」「乱流」「流砂と河床変動」「洪水 流」などがキーワードに並びます。一方,横糸は「実験」「観測・調査」が2本の太い軸となります。最近は,河川の生態系や環境の基盤としての流水や土砂の 動きの重要性に着目し,水理学的に裏付けられた河道の構造が生態面で有する機能の解明,さらには良好な環境を誘導する工学的方法の開発,に興味を持って勉 強を進めております。水理現象の本質を理解しその素過程を解明する点において実験・観測の重要性は揺らぎなく,学生さんに対しては,研究や教育を通じて本 質に迫ることの面白さを是非知っていただきたいと考えてます。

 徳島は,四国三郎・吉野川をはじめとして魅力あふれる河川が多く,そこでのテーマ設定も多岐にわたり,河川を研究する者にとっては大変やりがいの ある土地です。そこでまず大事なことは,河相(川の個性)を自然と社会から知ることと考えます。しかしながら私にとってはなにぶん初めての土地故,皆さま にお教えを乞うことも多いことと存じます。何とぞご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

 

 

塚越雅幸

維持再生工学研究室

 

 

 

 平成23年4月1日付けで,維持再生工学研究室(上田教授)に助教として赴任してまいりました塚越雅幸と申します。出身は埼玉県熊谷市ですが,暑い夏は苦手です・・・。

 建築家にあこがれ,東京電機大学工学部建築学科に入学し,念願叶い設計コースに所属しました。設計について学ぶにつれ,構造物がどのように・どの ような材料で建てられているのか興味がわき,卒論でお世話になった,東京工業大学大学院,建築材料系の研究室に進学しました。修士・博士課程の間,防水層 や塗料など,仕上材料のコンクリート構造物の保護効果に関して研究に取り組んできました。博士課程修了後は,半年ほど同大学研究員を,その後,首都大学東 京にて特任助教として約1年間勤務し,今年,徳島大学にまいりました。

 現在は,仕上材料による構造物の保護効果に関する検討と,材料の微細構造と性能の関係に着目した研究を行っています。建物へ雨水の侵入は建物の劣 化を促進させる要因となります。すなわち,構造物を長寿命化させるためには,建築部材に水を接触させない事が重要になります。そのため仕上材料は漏水防止 だけでなく,構造物の保護効果の観点からも重要視されています。ただし,仕上材料自体も徐々に劣化が進行し,また下地部材も均質ではなく,時にはひび割れ 等も発生します。建物を長く安全・快適に使い続けるためには維持管理が必要であり,コストの面からも最適な補修改修時期の予測は重要な課題です。建築部材 の劣化には様々な要因が複雑に作用し合い,正確な推定は難しいとされていますが,建物の耐久性評価の一助となるような研究が進めていければと考えておりま す。

 よくよく考えてみると,昔思い描いていた将来像からは少し私の進路(興味)は逸れて,それは周りの環境に強く依存していたのだと感じています。徳 島大学で学ぶ学生のみなさんの将来の夢の実現の為,大切な学生時代をサポートできるよう,またいろいろな刺激が与えられるよう頑張っていきたいと思いま す。

 徳島大学美土利会に所属できる事を大変光栄に感じております。今後ともご指導のほどよろしくお願いいたします。