高知支部
高知支部
高知支部長
工学部土木工学科27(昭和54年卒) 平田 幸成
高知県土木部の土木企画課で2年目を迎えました。改めて、美土利会の皆様にはよろしくお願いしたいと思います。
さて、3月11日を境にマスコミや政治、行政などをはじめ、日本の空気が一変したと思われます。
その日発生した東北地方太平洋沖地震は、国内観測史上最大のマグニチュード9.0という巨大なもので、これにともなう揺れと大津波により、東北地 方を中心に関東地方に至る広範囲で甚大な被害をもたらしました。この壮絶な惨状をテレビなどを通じて目の当たりにした時、現実のものと思えなかったし、胸 が締め付けられるような想いがありました。加えて原子力発電所の暴発による目に見えない放射線の恐怖は、まだなかなか、収束する気配がなく、長期戦が予想 されています。昨日まで、普通に生活していたことが、突然、断たれたことの悔しさや将来への不安は、いかばかりかと思います。
そんなかで、震災後、被災された方々が、少しずつ元気や笑顔を取り戻したニュースにふれると、ついうれしくなるし、自分の心のなかで、「頑張って」と応援したくなります。また、そのように頑張っている方々に対して頭が下がる想いです。
4か月を経た今もやはり、「がんばれ!東北」の気持ちですし、あわせて、日々の平凡な暮らしがいかに大切かということを肝に銘じて、今後、生きていこうと考えているところです。
翻って高知県においては、南海地震の発生する切迫度がいよいよ高まっており、今後30年間における発生確率は60%程度と言われています。次は東 海、東南海、南海の3連動地震が起こるのではないかと言われており、とりわけ東海地震は87%の発生確率であることから、気持ちのうえでは、いつ起こって もおかしくないという反面、何も準備ができていないという焦りみたいなものがあるのも事実です。
この南海地震への対策は、産業振興などの県政の主要施策に共通する最重要課題として、位置づけされています。現在、県では南海地震対策を強化する ために、庁内に「南海地震対策再検討プロジェクトチーム」を立ち上げて、東日本大震災の被害を検証するとともに、南海地震対策の強化に取り組んでいます。
私の所属する土木部では、これまでにも住宅や緊急輸送路の橋梁の耐震化、水門や河川堤防の耐震化を鋭意進めてきましたが、このたびの東日本大震災を踏まえ、より一層加速化するため、海岸堤防の基礎調査などを前倒しして、本年度に行う予定です。
また、東日本大震災の被害を教訓として、県の地震対策に活かすため、私も含め土木部職員10名で、去る6月11日から13日にかけて宮城県の気仙 沼から青森県の八戸まで、太平洋の沿岸地域を調査してきました。実際にその惨状を見て、改めてショックを受けましたし、真に想定を超える大津波が来襲して きたことが一目瞭然でした。
一方で、次の南海地震対策をしっかりとしかもスピードアップして進める必要があることを痛感しました。
現在、国の方で今回の津波被害を検証しながら、その対策のあり方が様々な分野で議論されています。そのなかで、ハード整備にあたって、その外力を どう設定するかは大きな課題であると思われます。また、その計画外力を超えた場合にどう対処するか、といういわば防災に関する哲学にかかわることも課題で あると思います。計画外の津波には、洪水対策における超過洪水対策の考え方が参考になると思われます。洪水と津波とでは、襲う速さやエネルギーが違います が、やはり逃げることをもっとも重視すべきです。
計画外の津波に対して、防波堤や海岸堤防などで、津波のエネルギーを少しでも消耗させるとともに、安全過ぎるぐらいの逃げ場を整備することが大切 です。これらの整備に関しては、やはり財源と整備までの時間、同時に地震はまだだろうという県民の意識の劣化を防止することが今後の大きな課題であると思 います。
そのため、国にも地震対策の必要性を訴えながら、必要な対策を優先順位も考慮しながら、着実に進めていかなければならないと考えています。
ところで、現在、高知では、志国高知龍馬ふるさと博が好評、開催中です。そんななか、去る7月9日には、JR高知駅前に大河ドラマ「龍馬伝」の撮 影で使用された龍馬の生家セットが再現されています。また、このメイン会場には(坂本龍馬、武市半平太、中岡慎太郎のレプリカ)が登場しています。この3 志士像は県議会まで巻き込んで、議論されましたが、できてみると、個人的には駅前のアクセントとしてもいいと思っていますし、このままずっと置いたらどう かと思います。なにはともあれ、機会があれば一度でも二度でもご来場ください。
最後に本題の美土利会のことですが、支部総会をこの8月19日(金)に高知市で行う予定です。久しぶりの総会で会員の皆様の期待も大きいと思いますので、皆様のブランクをはやく取り戻せるように会を盛り上げたいと考えています。
最後になりましたが、今後とも、会員の皆様のご理解とご協力をお願いしながら、美土利会が発展できるよう取り組んでいきたいと思っていますので、引き続きどうかよろしくお願いいたします。